ジャーナル/Seasonal · 読了目安7分
シャコバサボテンの花を咲かせる方法(短日処理のやり方)
文: Dr. Lena Okafor · 植物の科学と不思議
シャコバサボテンの花が咲かない原因と短日処理のやり方。9月下旬から6週間、夜12〜14時間の暗さと夜温10〜15℃、水を控えめに。
かんたんに言うと
シャコバサボテンは、夜の長さと涼しさに反応して花芽をつけます。9月下旬から約6週間、毎晩12〜14時間の途切れない暗さと夜温10〜15℃を保ち、水やりは控えめにします。蕾が見えたら明るい日陰に戻し、そこからは動かさないこと。光・温度・水分の急な変化が蕾落ちの原因になります。
秋になると必ず出てくる質問があります。「うちのシャコバサボテンは緑のままで蕾がつかないのに、ご近所の鉢は花だらけ。何が違うの?」。答えは肥料でも運でもありません。シャコバサボテン(デンマークカクタス)は短日植物で、毎晩の暗い時間を数えており、夜が十分に長く涼しくならないかぎり花芽をつけません。逆にいえば、その合図は窓辺でも再現できます。夏の終わりは、その段取りを考えるのにちょうどよい時期です。
まずは種類の確認から
日本で「シャコバサボテン」として流通しているものの多くは Schlumbergera truncata(デンマークカクタス)で、11月から1月にかけて咲きます。いわゆるクリスマスカクタス(Schlumbergera × buckleyi)はそれより2〜4週間遅く咲きますが、育て方は同じで、違うのは時期だけです。イースターカクタスは別属で、春咲きです。茎節のふちを見れば判別できます。
カニバ・シャコバ・イースターの見分け方
| シャコバサボテン(truncata) | クリスマスカクタス(× buckleyi) | イースターカクタス | |
|---|---|---|---|
| 茎節のふち | とがった爪状のギザギザ | 丸く波打つ | 丸く、先端に短い毛 |
| 開花期 | 11月〜12月 | 12月〜1月 | 春(4月ごろ) |
| 花の形 | 横向きで左右非対称 | 下垂して左右対称 | 星形に平開 |
花が咲く仕組み:暗さと涼しい夜
原産地であるブラジルの雲霧林では、シャコバサボテンは樹上に着生し、日が短くなって気温が下がるころに開花します。室内でも必要な合図は同じで、約6週間続けることが条件です。すなわち、毎晩12〜14時間の完全に途切れない暗さと、夜間10〜15℃という涼しさ。ここに便利な抜け道があって、夜温が10〜13℃程度で安定していれば、遮光がやや不完全でも花芽がつくことが多いのです。「涼しい部屋に置いて忘れておいたら咲いた」という話がよくあるのは、このためです。
6週間の短日処理の手順
- 9月下旬から10月上旬に、夜間に照明がつかない部屋へ移します。使っていない部屋、涼しい廊下、5℃以上を保てる室内の窓辺などが向いています。
- 毎晩12〜14時間の完全な暗さを確保します。22時に点く照明、薄いカーテン越しの外灯、テレビの明かりだけでも体内時計はリセットされます。確実に暗くならない場所なら、夕方から朝まで段ボール箱や遮光布をかぶせてください。
- 日中は明るく。レースのカーテン越しの光で十分です。
- 夜温は10〜15℃を目標に。夜も21℃を超える部屋では花芽ができない、あるいは途中で止まることがあります。
- 水やりは夏の半分程度に。用土の上半分が乾いてから与えます。やや乾かし気味が花芽を促し、水と養分が多すぎると茎節ばかり伸びます。
- 短日処理の間は施肥をやめます。再開は春、新しい茎節が伸び始めてからです。
4〜6週間続けると、茎節の先端にピンクや赤の米粒のような小さな蕾が現れます。これが処理成功の合図です。
蕾がついたら、もう動かさない
注意:シャコバサボテンで最も多い失敗が蕾落ちで、原因はほぼ急激な環境変化です。別の部屋への移動、冷たいすきま風、暖房の温風、乾ききった用土、逆に過湿の根。蕾が見えたら、明るい日陰で16〜21℃の安定した場所に置き、表土2〜3cmが乾いたら水を与え、あとは触らないでください。鉢を回すのも禁物です。蕾は光の方向に向くため、鉢を回すとねじれて落ちてしまいます。
去年、花が咲かなかった理由
- リビングに置いていて、照明やテレビの光で長い夜が毎晩途切れていた。
- 部屋が一日中暖かすぎた。夜も22℃以上が続くと、株はまだ夏だと判断します。
- 秋の間もたっぷり水と肥料を与え続け、蕾ではなく茎節を伸ばしてしまった。
- 秋に植え替えた。シャコバサボテンは根がやや詰まった状態でよく咲きます。植え替えは3〜4年に一度、花後の春に。
- そもそもイースターカクタスだった。この場合は10月にどれだけ丁寧に管理しても、咲くのは春です。
一年の残りの管理
花が終わったら、6〜8週間ほど休ませます。涼しく、乾かし気味に、肥料はなし。春から夏の終わりまでは、熱帯林の着生植物として扱いましょう。明るい日陰に置き、表土が数センチ乾いたら水を与え、月1回施肥し、可能なら夏は屋外の風通しのよい日陰へ。ただし梅雨の長雨と真夏の直射は避けてください。晩春には茎節を1〜2節ひねって外す剪定を行うと枝数が増えます。枝先が増えれば、それだけ花の数も増えるわけです。外した茎節は湿らせた用土に挿せば簡単に発根し、一鉢が五鉢になります。
ヒント:シャコバサボテンは何十年も生きる植物で、50年以上受け継がれている株も珍しくありません。秋の管理を一度覚えてしまえば、それはもう観葉植物ではなく、花の咲く家宝になります。
花がつかないだけでなく、茎節がしわしわ、ぶよぶよ、あるいは斑点が出ている場合は、PlantMeで撮影してみてください。水切れ、根腐れ、葉焼けを数秒で見分け、花芽の季節までに直すべき点を教えてくれます。
よくある質問
短日処理はいつから始めればよいですか。
咲かせたい時期の6〜8週間前から逆算します。12月に咲かせたいなら、9月下旬から10月上旬に12〜14時間の暗い夜を始めてください。
1日に何時間の暗さが必要ですか。
毎晩12〜14時間の途切れない暗さを、4〜6週間続けます。短時間の明かりでもリセットされるので、確実に暗くならない部屋では箱や遮光布をかぶせてください。
蕾が落ちてしまうのはなぜですか。
急な環境変化です。置き場所の移動、温度差、すきま風、暖房の風、そして極端な乾燥と過湿。蕾がついたら、光・温度・水やりをできるだけ一定に保ってください。
秋に肥料を与えてもよいですか。
いいえ。花芽ができる時期と開花中は施肥を止めます。新しい茎節が伸び始める春から夏に、月1回のペースで再開してください。
鉢は小さめのほうが咲きやすいですか。
根がやや詰まっているほうが明らかによく咲きます。植え替えは3〜4年に一度、花後の春に、一回り大きい鉢までにとどめましょう。