ジャーナル/Care Basics · 6分で読めます
多肉植物の増やし方|葉挿し・挿し木・株分けのコツ
多肉植物の増やし方を葉挿し・挿し木・株分けの3通りで解説。乾かす日数、水やり、適期の見極め方と、一定の失敗が当たり前な理由まで。
かんたんに言うと
多肉植物は、健康な葉を左右にひねって根元からきれいに外し(または茎を切り)、1〜3日ほど日陰で乾かして切り口をかさぶた状にしてから、水はけのよい用土の上に置きます。明るい日陰で管理し、表面が乾いたら霧吹きを。2〜4週間で根、4〜8週間で小さなロゼットが出ます。適期は春と秋で、猛暑の8月は避け、9月以降に始めるのがおすすめです。
多肉植物は家の中でもっとも気前のよい植物です。葉も茎も子株も、そのまま新しい株の出発点になります。道具もお金もほとんどかからず、エケベリア1鉢が窓辺いっぱいの多肉に変わります。ただし実際は、SNSで見るよりも時間がかかり、失敗も多いもの。どの失敗が「普通」なのかを知ることが、成功の半分と言ってよいでしょう。ここでは手順を最初から順に解説します。
適期:8月の猛暑は避けましょう
日本で多肉植物を増やす適期は春と秋です。多くの品種が春秋型で、この時期にもっとも活発に根を伸ばします。真夏は蒸れと徒長のリスクが高く、真冬は低温で根が動きません。とくに8月の猛暑期は避け、暑さがやわらぐ9月以降の秋スタートがおすすめです。また6〜7月の梅雨どきは湿度が高く、葉挿しの葉が根を出す前に腐りやすいので、始めるなら風通しのよい室内の明るい場所を選び、扇風機やサーキュレーターで空気を動かしてください。
品種に合った方法を選ぶ
- 葉挿し — 肉厚のロゼット型に向きます。エケベリア、セダム、グラプトペタルムとその交配種など。親株から10枚ほど取っても見た目はほとんど変わりません。
- 挿し木(茎伏せ・胴切り) — 木立ちするタイプや徒長した株に向きます。カネノナルキ(クラッスラ)、アエオニウム、カランコエ、伸びすぎたロゼットなど。葉挿しより早く確実です。
- 株分け(子株) — もっとも簡単な方法。ハオルチア、アロエ、アガベ、センペルビウムは株元に子株をつけ、サンセベリアは土から新芽を出します。切り離して植えるだけです。
なお、葉挿しがほとんど成功しない種類もあります。アエオニウムの葉はまず発根しませんし、葉の薄いセダムは茎を使ったほうが確実です。1か月たっても変化がないときは、あなたの手順ではなく品種の性質が理由であることがほとんどです。
葉挿しの手順
- ロゼットの中ほどにある、ふっくらと健康な葉を選びます。下のしなびた葉や、先端の新芽は避けてください。
- 葉の付け根を持ち、左右にゆっくりひねって、根元から丸ごと外します。この作業がすべてを左右します。途中でちぎれて付け根が茎に残った葉は、芽を出しません。
- 日陰で1〜3日置き、切り口が乾いてかさぶた状になるまで待ちます。この乾燥が、湿った土に触れたときの腐敗を防ぎます。
- 水はけのよい多肉用の用土を入れたトレーの上に、葉を平らに並べます。埋める必要はなく、置くだけで十分です。
- 明るい日陰に置き、表面が乾いたら霧吹きか軽い水やりを。成株と違い、葉挿し中の葉は適度な湿り気を好みます。
- あとは待つだけです。2〜4週間でピンク色の根、4〜8週間で小さなロゼットが出て、親葉はそれを養いながら少しずつしぼんでいきます。親葉が紙のように乾いて自然に外れるまで、無理に取らないでください。
挿し木の手順
清潔でよく切れるはさみを使い、節のすぐ上で健康な茎を5〜10cm切り取ります。下の葉を数枚取り除いて茎を2cmほど出し、葉挿しと同じように日陰で1〜3日乾かします。その後、乾いた多肉用土に挿し、土が乾いてから水やりを始めます。徒長したロゼットは思い切って胴切りし、切り口を乾かしてから土の上に置けば発根します。残った茎も無駄にはなりません。多くの場合、茎の途中から複数の新しいロゼットが吹き、始める前より株が増えます。
その後の管理と、成株への切り替え
小さい株には小さい株のルールがあります。強い日ざしではなく明るい日陰、そして成株のような「乾かしてからたっぷり」ではなく、土が乾いたらこまめに水を。新しいロゼットが2〜3cmになり、しっかり根が張ったら小さな鉢に植え替え、数週間かけて通常の管理――日当たりを強く、水やりは少なく深く――へ移行させます。葉から植物らしい姿になるまで3〜6か月、成株サイズのロゼットになるまでは1年ほど見ておきましょう。
プロのヒント:欲しい株数の3倍の葉を取ってください。慣れた人でも、根は出たのに芽が出ない葉、芽は出たのに根が出ない葉、そのまま乾いてしまう葉が一定の割合で出ます。最初の1回では半分ほどが失敗することもありますが、これは葉挿しの通常の歩留まりであり、失敗ではありません。
注意:多肉植物は切ると樹液が出ますが、ユーフォルビアの仲間は刺激性のある白い乳液を出し、多肉植物の常識が通用しません。切ったときに白い液が出る場合は、手を洗い、目に入らないようにし、葉挿しの対象とせずユーフォルビアとして扱ってください。
何を増やそうとしているのかを確かめる
適した方法は品種によって決まりますが、多肉植物にはよく似た姿の別属が数多くあります。ハオルチアは上から見るとエケベリアに似ていますが、増やし方はアロエと同じ株分けです。切る前に親株をPlantMeで撮影してみてください。35,000種類以上の植物を93%の上位3件正答率で識別し、葉挿し・挿し木・株分けのどれが向くかがすぐに分かります。
よくある質問
葉挿しはどれくらいで根が出ますか。
一般に2〜4週間でピンク色の根が、4〜8週間で小さなロゼットが出ます。植物らしい姿になるまで3〜6か月、成株サイズになるまでは1年ほどかかります。適温と明るさが十分にあると、この期間はかなり短くなります。
葉挿しの葉が乾いてしぼんでしまいます。
多くは光不足か乾かしすぎです。明るい日陰に置き、成株とは違って表面が乾いたら霧吹きで湿らせてください。また、どのようにやっても一定数は失敗します。だからこそ、必要な数より多めの葉を用意します。
発根促進剤は必要ですか。
必要ありません。多肉植物はそのままでもよく発根し、肉厚な葉では発根促進剤の効果はほとんど見られません。それよりも、きれいに外すこと、1〜3日乾かすこと、水はけのよい用土を使うことのほうが重要です。
自然に落ちた葉でも増やせますか。
付け根ごときれいに落ちた葉なら可能です。新しい芽は、葉が茎に接していた付け根の分裂組織から出るため、その部分が残っていることが条件になります。ちぎれた断片は切り口がふさがっても、ほとんど芽を出しません。
あわせて読みたい
関連ページ