ジャーナル/Seasonal · 読了目安7分
アジサイの挿し木のやり方|適期は梅雨、9月も間に合う
文: Arthur Meade · 家庭菜園と季節の作業
アジサイの挿し木は1株から何株にも増やせます。本命の適期である梅雨どきの方法から、9月に挑戦する場合のコツ、冬越しまで解説します。
かんたんに言うと
健康で花のついていない枝を10〜15cmほど切り取り、梅雨(6〜7月)の柔らかい新梢か、晩夏〜9月のやや木質化した枝を使います。葉の節のすぐ下で切り、下葉を落として大きな葉は半分にカットし、湿らせた水はけのよい用土に挿して明るい日陰で保湿カバーをかけましょう。梅雨の挿し木は2〜3週間、晩夏〜9月の挿し木は4〜6週間ほどで発根します。
アジサイは庭木の中でもとりわけ増やしやすい植物のひとつで、多少手順が雑でも根を出してくれる、寛容な性質を持っています。健康な株が1本あれば、生け垣一列分も、ご近所へのお裾分け用の株も、大切な株の「保険用コピー」も、培養土代だけでまかなえてしまいます。そして本命の適期は梅雨(6〜7月)。ちょうど今の時期、晩夏から9月にかけても、木質化しかけた今年の枝を使えば挑戦できる「セカンドチャンス」の窓が開いています。ただし正直にお伝えすると、成功率や発根の安定感では梅雨どきの挿し木にはやや及びません。
アジサイの挿し木、いつがベストか
アジサイの挿し木には日付よりも枝の状態で見極める、2つの窓があります。一番の適期は梅雨、6〜7月です。この時期の柔らかく充実した新梢(緑枝)を使う挿し木は、湿度が高く気温も安定しているため発根が早く、2〜3週間ほどで根が出ることも珍しくありません。もうひとつの窓が晩夏から9月にかけてで、今年伸びた枝の根元がやや茶色く木質化し始め、先端はまだ緑で柔らかい「半木質化」の状態のものを使います。この時期の挿し木は発根までやや時間がかかり、4〜6週間ほど見ておく必要がありますが、梅雨の柔らかい枝に比べて丈夫でしおれにくく、最初の一回にはむしろ扱いやすい面もあります。梅雨の時期を逃してしまった方にとって、9月は十分にチャレンジする価値のある「第二のチャンス」だと考えてください。どちらの時期でも、水分をたっぷり含んだ朝のうちに枝を切り、花のついていない枝を選びましょう。花に養分を使った枝は発根が鈍いので、株の下のほうや内側にある、葉だけの花のない枝を探します。
準備するもの
- 健康でよく灌水されたアジサイの株(前日の夕方にたっぷり水を与えておく)
- 清潔でよく切れる剪定ばさみかナイフ
- 水はけ穴のある小さめの鉢、または育苗トレイ
- 水はけのよい挿し木用の用土 — 培養土とパーライトまたは粗めの砂を半々に混ぜたもの
- 発根促進剤の粉末やジェル(必須ではありません。アジサイは何もなくてもよく発根しますが、あると成功率が上がり安定します)
- 透明なビニール袋、ペットボトルの上部、または保湿用のドームカバー
挿し木の手順
- 1. 花のついていない枝から10〜15cmを切り取り、下の切り口は葉の節(葉と茎がつながる部分)のすぐ下にします。この節の部分から新しい根の多くが出てきます。
- 2. 枝の下半分の葉を取り除き、先端の一対だけを残します。アジサイの葉は大きいので、残った葉は横半分に切り落としましょう。少し思い切った処理に見えますが、根のない状態での水分の蒸散を半減させ、挿し穂を生かしておくための大切な工程です。
- 3. 発根促進剤を使う場合は切り口に軽くつけ、余分をはたき落とします。
- 4. 湿らせた挿し木用の用土に、枝の下3分の1を挿し、軽く用土を押さえて固定します。1つの鉢に複数挿す場合は、葉同士が触れ合わないよう鉢の縁に沿って間隔をあけましょう。
- 5. 軽く水を与えたら、透明な袋やカバーをかけて湿度を保ちます。ビニールが葉に直接触れないよう、割り箸などで小さな支柱を立てるとよいでしょう。
- 6. 鉢は直射日光の当たらない明るい場所に置きます。北向きの窓辺、日陰の育苗フレーム、庭のベンチの下などが向いています。
発根までの管理
数日おきに様子を確認しましょう。カバーは数分間開けて換気し、用土は湿った状態を保ちつつ、決して過湿にはしないこと。茶色く変色したりカビが出たりした挿し穂は、周りに広がる前にすぐ取り除きます。早く引っ張って確かめたくなる気持ちはこらえましょう。3〜4週間(梅雨の柔らかい枝)、あるいは5〜6週間(晩夏〜9月の半木質化した枝)ほど経ってから軽く引っ張り、抵抗を感じれば発根のサインです。水はけ穴から白い根がのぞいていれば、それでほぼ確定と言えます。発根が確認できたら、1週間ほどかけて少しずつカバーを外し、通常の室内環境に慣らしてから、それぞれ小さな鉢に植え替えましょう。
冬越しをどう乗り切るか
晩夏から9月にかけて根づいた挿し木は、まだ露地の花壇に出して冬を越せるほど育っていません。霜と冷たい風から守ることが何より大切です。無加温の温室や育苗フレーム、あるいは室内の明るい窓辺など、明るく凍結しない場所で育てましょう。軒下に取り込むのも有効です。休眠に近い状態の間は、用土をわずかに湿らせる程度にとどめます。鉢植えの小さな根鉢は地植えより凍結しやすいため、寒冷地では鉢を不織布で包んだり、風の当たらない庭の一角に鉢ごと埋め込んだりして防寒しましょう。春になり遅霜の心配がなくなってから、堆肥で土壌改良した場所に植えつけ、最初の夏はしっかり水を与えます。多くは2年目に、初めてのまとまった花房をつけてくれます。
ポイント:それぞれの鉢に、親株の名前や色、挿した日付をラベルで記録しておきましょう。アジサイの挿し木は何か月も見た目がそっくりで、花が咲く頃には、どれが深い青のマリの花からで、どれがご近所のピンクの株から採ったものか、思い出せなくなってしまいます。
注意:カバーをかけた挿し木の鉢を直射日光の下に置かないでください。透明なビニールの中は数分で気温が急上昇し、しおれるより先に挿し穂が蒸れて傷んでしまいます。発根が完了するまでは、常に明るい日陰を選びましょう。
新しい株の花色は親株と同じになるか
遺伝的には同じで、挿し木は親株のクローンです。ただし、増やしているのがガクアジサイやセイヨウアジサイ(Hydrangea macrophylla)の系統であれば、花色は土壌のpHによって変わることで知られています。根がアルミニウムを吸収できる酸性土壌では青く、アルミニウムが吸収されにくいアルカリ性土壌ではピンクに咲きます。つまり、青いアジサイから採った挿し木でも、石灰質のアルカリ性土壌に植えれば、同じ株なのにピンクの花を咲かせることがあります。白花品種は土壌にかかわらず白いままです。増やしているアジサイがマリ咲き・ガク咲き・パニクラータ(ノリウツギ)・カシワバのどれなのか判断に迷う場合、それぞれ発根の勢いも少しずつ異なるので、PlantMeで写真を撮ってみましょう。35,000種以上の植物クラスを93%のトップ3精度で識別し、種類ごとの育て方を28言語で案内してくれます。
よくある質問
アジサイの挿し木は水だけで発根させられますか。
できますし、根が伸びる様子を眺めるのは楽しいものですが、水の中で育った根はもろく土に馴染みにくいため、鉢上げのときに枯れやすくなります。最初から水はけのよい用土に直接挿すほうが、移行のショックがなく丈夫な株に育ちます。
アジサイの挿し木は発根までどのくらいかかりますか。
梅雨(6〜7月)の柔らかい新梢を使った場合はおよそ2〜3週間、晩夏から9月にかけての半木質化した枝を使った場合は4〜6週間ほどです。気温が低いと発根はさらに時間がかかるので、焦らず待ちましょう。
根づいた挿し木はいつ庭に植えつければよいですか。
最初の冬を凍結しない場所で越させたあとです。晩夏から9月に発根した若い株は、霜や寒風を避けてわずかに湿らせる程度に管理して冬を越させ、春に遅霜の心配がなくなってから植えつけ、最初の夏はしっかり水を与えます。
挿し木の花色は親株と同じになりますか。
遺伝的にはクローンですが、ガクアジサイやセイヨウアジサイの系統は花色が土壌のpHに左右されます。酸性土壌なら青、アルカリ性土壌ならピンクになりやすく、親株と同じ土壌環境で育てれば花色も揃いますが、土壌が変われば色も変わることがあります。