ジャーナル/Care Basics · 7分で読めます

ハエトリソウの育て方|水やり・置き場所・冬の休眠

Wren Hollis

文: Wren Hollis · 観葉植物とインテリアグリーン

ハエトリソウの育て方を解説。雨水か精製水だけを使い、日当たりのよい場所に置き、肥料は与えず、11月〜2月の休眠をきちんととらせるのがコツです。

かんたんに言うと

ハエトリソウは日当たりのよい場所、雨水または精製水だけの水やり(水道水はNG)、肥料分のない水苔・ピートベースの用土が基本です。虫を与えるのは多くても2〜4週間に1匹程度で十分。そして11月〜2月ごろ、0〜10℃の環境で休眠させてください。この休眠を飛ばしてしまうことが、1年以内に枯らす最大の原因です。

ハエトリソウ(Dionaea muscipula)は世界でいちばん有名な植物かもしれません。そして、いちばんよく枯らされている植物のひとつでもあります。弱いからではなく、ふつうの観葉植物によいとされることのほとんどが、この植物には逆効果だからです。原産地はアメリカ南東部のやせた湿地。栄養の乏しい用土、きれいな水、たっぷりの日光、そして本物の冬の寒さ——この4つがそろえば、ハエトリソウは何十年も生きます。

光:思っているよりずっと必要です

「食虫植物は日陰のテラリウム向き」という思い込みは、いったん忘れてください。ハエトリソウは強い日ざしを好む植物です。屋外なら直射日光6時間以上でも平気ですし、室内なら家でいちばん明るい南向きの窓辺か、しっかりした植物育成ライトが必要です。光が十分だと捕虫葉の内側が濃い赤に色づきます。全体が緑のまま間のびして、捕虫葉がへなへなしているなら、それは光不足のサインです。

水:ここだけは妥協できません

水道水はハエトリソウを枯らします。雨水で育つ湿地に適応した根は、水道水やミネラルウォーターに含まれる溶存ミネラルに耐えられません。塩類が用土にたまり、数週間から数か月で株を弱らせます。使うのは雨水、精製水(薬局で買える蒸留水)、またはRO水だけにしてください。

  • 生育期(春〜秋)は腰水管理にします。受け皿に1cmほどきれいな水を張り、用土がいつも湿っている状態を保ちます。
  • 完全に乾かさないでください。ハエトリソウは湿地の植物で、多肉植物ではありません。
  • 冬の休眠中は腰水をやめ、用土がうっすら湿る程度に控えます。
  • 捕虫葉の上から水をかけないこと。気温の低い時期に株元が濡れ続けると腐りやすくなります。

用土:あえて「やせた土」に

一般的な培養土は栄養が多すぎて命取りです。食虫植物用の定番配合、ピートモス2に対して無石灰の川砂かパーライト1くらいを使いましょう。長繊維の水苔単用でも育ち、ピートを使いたくない場合の選択肢になります。そして肥料は絶対に与えないでください。栄養は虫から得る植物で、肥料は根を傷めるだけです。

虫を与える:楽しいけれど必須ではありません

ここを誤解している方がとても多いのですが、ハエトリソウに毎日えさを与える必要はありません。屋外なら自分で必要な分を捕まえます。室内でも、2〜4週間に1〜2枚の捕虫葉に与えれば十分です。

  • 虫の大きさは捕虫葉の3分の1程度が目安です。小さなハエやクモ、水で戻した乾燥ミルワームなど。大きすぎると葉が閉じきれず黒くなります。
  • 死んだ虫を与えたときは、閉じた葉を軽くもむか、感覚毛を爪楊枝でそっと刺激してください。動きの刺激がないと消化が始まりません。
  • 肉やチーズなど、人間の食べものは厳禁です。葉の中で腐ります。
  • おもしろ半分で葉を閉じさせないこと。1枚の捕虫葉が閉じられる回数はかぎられていて、空振りのたびに大きなエネルギーを失います。

休眠:株を救う最重要ステップ

ここがいちばん大切です。11月ごろから2月ごろまで、ハエトリソウは0〜10℃で休眠させる必要があります。葉は黒く枯れ込み、株は半分枯れたように見えますが、これは健康な状態で、地下の鱗茎で休んでいるだけです。日本では屋外の軒下やベランダの雨の当たりにくい場所、無加温の玄関や車庫の窓辺などが向きます。暖房の効いたリビングで冬を越させると休眠できず、株が消耗して2年目に崩れてしまうことがほとんどです。

花・植え替え・そのほか

春になると充実した株は長い花茎を伸ばします。種を採るつもりがなければ、数センチ伸びた時点で切り取ってください。開花は大きなエネルギーを使うので、その分を捕虫葉に回したほうが株は充実します。植え替えは1〜2年に1回、休眠明けの3月ごろに、新しい食虫植物用土と深さ10cmほどのプラ鉢で行います。素焼き鉢はミネラルが溶け出すため避けましょう。ところどころ捕虫葉が黒くなるのは自然な葉の更新なので、切り取れば大丈夫です。

よくある失敗まとめ

  • 水道水——いちばん早く枯らす原因。きれいな水だけを使う。
  • 一般的な培養土や肥料を使ってしまう。
  • 日なたではなく日陰や密閉テラリウムに置く。
  • 冬の休眠をとらせない。
  • 捕虫葉で遊びすぎて株を消耗させる。

休眠中なのか枯れかけているのか判断がつかないときは、PlantMeアプリで撮影してみてください。季節ごとの自然な枯れ込みと腐敗を見分けて、対処法を数秒で提案します。

よくある質問

テラリウムで育てられますか。

長期的にはおすすめできません。強い光、季節ごとの温度差、冬の低温休眠が必要で、密閉されたテラリウムではどれも再現しにくいためです。明るい窓辺や屋外のほうがずっと向いています。

捕虫葉が黒くなるのはなぜですか。

数枚が黒くなるのは自然な葉の更新で、虫を消化したあとや大きすぎる獲物を挟んだあとによく起こります。秋に株全体が黒くなるのは休眠であって枯死ではありません。真夏に黒くなる場合は水を確認してください。水道水が原因のことがほとんどです。

虫はどのくらいの頻度で与えますか。

室内なら2〜4週間に1〜2枚、しかも生育期だけで十分です。休眠中の株には与えず、虫以外のものも与えないでください。

花が咲くと枯れてしまいますか。

枯れはしませんが、開花には大きなエネルギーを使います。多くの栽培者は花茎を早めに切り、その力を大きな捕虫葉づくりに向けさせています。

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