ジャーナル/Plant Science & Curiosities · 読了6分
紅葉のしくみ|秋に葉の色が変わるのはなぜ?
文: Arthur Meade · 家庭菜園と季節の作業
紅葉の科学をやさしく解説。クロロフィルが減る理由、黄色やオレンジの正体、赤くなるしくみ、そして最後に葉が落ちる理由まで。
かんたんに言うと
秋に葉の色が変わるのは、樹木が光合成を支える緑の色素クロロフィルをつくるのをやめるからです。緑が抜けると、もともと葉にあった黄色やオレンジのカロテノイドが見えてきます。一方、赤や紫は葉に閉じ込められた糖から新しくつくられる色素です。引き金になるのは日照時間が短くなることです。
秋になると、風景全体が緑から黄金色、オレンジ、赤へと移り変わります。葉が「色づく」と言いますが、実際に起きているのは引き算と、少しばかりの化学反応です。樹木は冬に備えて葉を分解していて、そこで現れる色の一部は、もともとずっと隠れていたものなのです。俗説を除いた本当のしくみを見ていきましょう。
緑はクロロフィルの色
春から夏にかけて、葉はクロロフィル(葉緑素)でいっぱいです。太陽の光を受け止め、光合成で糖をつくる色素です。クロロフィルは鮮やかな緑で、絶えず補充されているため、葉のなかのほかの色素をすべて覆い隠します。樹木が補充を続けているあいだ、葉は緑のままです。
変化の引き金
主な引き金は気温ではなく、日の長さです。晩夏から初秋にかけて夜が長くなると、樹木は冬の訪れを感じ取り、凍結に耐えられず貴重な水分を失う葉を、少しずつ店じまいしていきます。クロロフィルの生産が止まり、残っていた分も分解されます。そこに気温と光が加わって仕上がりが決まります。暖かく晴れた日が続き、夜は冷え込む(ただし凍らない)という条件で、もっとも鮮やかな色になります。
黄色とオレンジは最初からあった
緑のクロロフィルが消えると、カロテノイドが姿を現します。ニンジンをオレンジに、卵黄を黄色にしているのと同じ仲間の色素です。ずっと葉のなかにあって、静かに光合成を助けていたものが、緑の下から見えるようになるだけです。シラカバやイチョウが毎年きれいに黄葉するのはこのためです。
赤と紫は秋につくられる
赤や紫のしくみは違います。これはアントシアニンによるもので、カロテノイドと違って夏のあいだは存在せず、秋に葉のなかで新しくつくられます。樹木が葉を切り離す準備を進めるあいだ、糖が葉に閉じ込められ、強い光のもとで赤い色素へと変わります。日光と閉じ込められた糖の両方が必要なので、秋晴れの澄んだ日が続くほど赤は濃くなります。カエデ(モミジ)がその代表です。
葉が最後に落ちる理由
色づきが進むあいだ、樹木は葉柄のつけ根に離層と呼ばれる特別な細胞の帯をつくります。これが葉を枝から少しずつ切り離し、水分と養分の供給を断ち、やがて完全に離して落葉させます。傷口をふさぐことで、冬のあいだの水分の損失や感染から樹木を守ります。腐って落ちるのではなく、計画された切り離しなのです。
常緑樹が緑のままの理由
マツやスギなどの常緑樹が冬も葉を保てるのは、針葉がそのようにできているからです。厚いろう質の被膜とコンパクトな形が水分の損失を抑え、凍結にも耐えるため、一斉に落とす必要がありません。古い葉は落としますが、秋に一度にではなく、一年を通して少しずつ入れ替わります。
紅葉が当たり年になる条件
- 暖かく晴れた日のあと、凍らない程度に冷え込む夜が続くと、赤がもっとも鮮やかになります。
- 赤の色素は光がないとつくられないため、どんよりした秋より晴天の多い秋のほうがきれいです。
- 干ばつ、早い霜、台風などは葉を早く傷ませたり落としたりして、見ごろを短くします。
- 樹種の組み合わせが色合いを決めます。シラカバやポプラは黄、モミジやハナミズキは赤、カシワ類は赤茶色になります。
ヒント:最後に残る茶色はタンニンによるものです。色鮮やかな色素が分解されたあとに残る老廃物で、葉が分解され、翌年の生長を支える養分になるまでの最終章にあたります。
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よくある質問
紅葉は霜が原因で起こるのですか。
いいえ、よくある誤解です。色づきの主な引き金は日照時間の短縮で、初霜より前にすでに始まっています。早い時期の強い霜はむしろ葉を茶色くして落としてしまい、見ごろを台無しにします。
赤くなる葉と黄色くなる葉があるのはなぜですか。
黄色やオレンジは、もともと葉にあったカロテノイドが、緑のクロロフィルが抜けることで見えるようになったものです。赤や紫は樹木が秋に新しくつくるアントシアニンによるもので、だからこそ晴れた明るい日が続くほど赤が濃くなります。
常緑樹はなぜ緑のままなのですか。
針葉がろう質の被膜とコンパクトな形をもち、寒さと乾燥に耐えられるため、毎秋落とす必要がないからです。常緑樹も古い葉は落としますが、一年を通して少しずつ入れ替わります。
葉が色づくのはいつごろですか。
北半球では緯度や天候によっておおむね9月から11月ごろで、日本では北海道や高地が9月下旬から、平地は11月から12月初めが見ごろになります。南半球では3月から5月です。正確な時期は日の長さと気温によって毎年前後します。