ジャーナル/Seasonal · 読了目安 6分
シクラメンの育て方|冬中咲かせるコツと夏越し
文: Arthur Meade · 家庭菜園と季節の作業
シクラメンを冬の間ずっと咲かせる育て方。涼しい置き場所、底面給水のやり方、花がら摘み、そして夏越しさせて来年も咲かせる方法まで。
かんたんに言うと
シクラメンは多くの観葉植物と正反対で、涼しい部屋(10〜16℃)と明るい間接光、表土が乾いたら鉢底から吸わせる底面給水を好みます。咲き終わった花は茎の根元からひねって抜き取れば、秋に買った株が3月まで咲き続けます。シクラメンを枯らすのは水切れではなく「暖かさ」です。
毎年秋から歳末にかけて、園芸店や花屋の店先はシクラメンでいっぱいになります。白、ピンク、赤紫——反り返った花びらが、ハート形の斑入り葉の上にちょうちょのように浮かぶ、冬の鉢花の王様です。ところが年が明けるころ、その多くが黄色くしおれた姿でごみ箱行きに。悲しいのは、シクラメンが決して難しい植物ではないことです。冬の植物を夏の植物のように扱ってしまうから枯れるのです。温度と水やりさえ合えば、ひと鉢が4〜5カ月咲き続けます。
シクラメンの種類を知る
秋から店頭に並ぶ鉢物は、室内向けの「シクラメン」(Cyclamen persicum)です。近縁には、秋咲きのシクラメン・ヘデリフォリウムや晩冬咲きのシクラメン・コウムといった耐寒性の高い「原種シクラメン」もあり、こちらは落葉樹の下などで庭植えにできます。最近は屋外の寄せ植え向けの「ガーデンシクラメン」も人気ですね。この記事では室内用の鉢花シクラメンを中心に解説します。
黄金ルール:とにかく涼しく
シクラメンの原種は地中海東部の生まれ。涼しく湿った秋に目覚め、暑い夏は眠って過ごします。室内では「明るくて涼しい部屋」がその再現です。理想は10〜16℃。20℃を超える状態が続くと、株は夏が来たと勘違いして花を止め、葉を黄色くし、休眠モードに入ってしまいます。暖房の効いたリビングの特等席よりも、暖房のない玄関や廊下、涼しい部屋のいちばん明るい窓辺のほうが、シクラメンにとってはずっと居心地がよいのです。
光
秋から冬は、明るい間接光をたっぷりと。東向きや北向きの窓辺が最適ですが、冬の日差しは弱いので南向きの窓辺でもたいてい大丈夫です。花のドームが均等に育つよう、週に1回、鉢を4分の1ずつ回してあげましょう。
水やり:底面給水で、求められたときだけ
シクラメンの球根(塊茎)は土から少し顔を出していて、その中心や茎の付け根に水がたまると腐りの原因になります。だから水やりは下から。鉢を2〜3cmの深さの水に15〜20分つけて吸わせ、そのあとしっかり水を切ります。タイミングは、表土が乾いて鉢が明らかに軽くなったとき。涼しい部屋なら週1〜2回が目安です。日本で売られているシクラメンの鉢は底面給水鉢のことも多いので、その場合は受け皿部分の水を切らさず、ときどき上からも水を通してあげると肥料分の偏りを防げます。土が乾いてぐったりした株も、底面給水すれば数時間でしゃんと立ち直ることがほとんどです。
注意:シクラメンの球根は、掘り出してかじると猫や犬に有毒です。退屈したペットの届かない場所に置きましょう。
花がら摘みと肥料
咲き終わった花や黄色くなった葉は、茎ごと取り除きます。茎を根元までたどり、くるっとひねって引き抜くのがコツ。途中で切ると、残った茎が球根まで腐り下がってしまいます。こまめに花がらを摘み、2〜3週間に1回、カリ分の多い液肥(トマト用でも可)を半分に薄めて与えれば、元気な株は冬の間じゅう球根から次々とつぼみを上げてきます。
花後の管理:夏越しに挑戦
4〜5月ごろになると、何をしても葉が黄色くなってきます。これは枯死ではなく休眠のサイン。肥料を止め、水やりを少しずつ減らして葉を枯らし、鉢ごと風通しのよい涼しい日陰へ。夏の間は球根がしなびない程度に、数週間に1回ほんの少しだけ水を与えます(葉を残したまま半日陰で水やりを続ける「非休眠夏越し」という方法もあります)。8月末〜9月、球根に新芽が見えたら、球根の上3分の1が土から出るように新しい用土へ植え替え、底面給水を再開すれば、サイクルの再スタートです。梅雨と真夏の蒸し暑さが最大の難関ですが、夏越しに成功すれば同じ株が何年も咲いてくれます。
よくあるトラブル
- シーズン中の黄葉:部屋が暖かすぎるか、土が湿りっぱなし。涼しい場所に移し、少し乾かし気味に。
- 土が乾いてぐったり:水切れです。20分の底面給水で立ち直ります。
- 土が湿っているのにぐったり、球根がぶよぶよ:上からの水やりによる球根腐敗。残念ながら回復はまず見込めません。次からは底面給水を。
- 茎や花がらに灰色のかび:灰色かび病(ボトリチス)。傷んだ茎を根元から取り除き、風通しを改善しましょう。
- 暖かい日が続いて開花が止まった:20℃超でつぼみは一時停止します。涼しい場所に移せば、たいてい1〜2週間で再開します。
ヒント:ラベルなしで迎えたシクラメンは、PlantMeで撮影して種類を確認してみてください。アプリのお手入れリマインダーが、シーズンを通して底面給水のリズムを教えてくれます。
よくある質問
シクラメンの花はどのくらい咲き続けますか?
涼しい環境(10〜16℃)で健康に育てれば、3〜5カ月咲き続けます。秋から早春までが花期で、花がら摘みと薄い液肥を続ければ、次々と新しいつぼみが上がってきます。
鉢花のシクラメンは庭に植えられますか?
室内用のシクラメン(C. persicum)は霜に弱いため、庭植えは温暖地や軒下などに限られます。屋外で楽しむなら、耐寒性のあるガーデンシクラメンや、原種のヘデリフォリウム、コウムを選びましょう。
シクラメンがぐったりしています。どうすれば?
まず土を触ってください。乾いて軽ければ水切れ——底面給水すれば数時間で回復します。湿っていて球根が柔らかければ、球根に水がかかったことによる腐敗で、回復はほぼ見込めません。水やりは常に下からが鉄則です。
シクラメンは毎年咲きますか?
はい、球根は多年生です。晩春に休眠させ、夏は涼しい日陰でほぼ断水気味に管理し、初秋に植え替えて再スタートさせましょう。夏越しさえ成功すれば、同じ株を10年近く咲かせている人もいます。