ジャーナル/Plant Science & Curiosities · 7分
観葉植物は冬に休眠する?成長が止まる理由と冬越しの考え方
冬に観葉植物の成長が止まるのは、必ずしも本当の休眠ではありません。光不足による休止との違い、種類別の変化、水やりと肥料を解説します。
かんたんに言うと
熱帯原産の観葉植物の多くは、冬に本当の休眠に入るのではなく、日照不足などで成長を一時停止します。条件がよくなれば再び成長できる「環境による休止」です。アロカシアや一部のサボテンは深く休み、葉を落とすこともあります。水やり前に用土の乾きを確認し、成長していない株には肥料を与えず、新芽を待ちます。
11月になると、モンステラが新しい葉を出さなくなり、ポトスも何週間も変わらなくなります。「休眠でしょうか。それとも弱っているのでしょうか」。答えは、どちらか一方とは限りません。多くの観葉植物は熱帯原産で、日本の冬に合わせた休眠の仕組みを持っていません。11月から2月の室内で起きているのは、光などの条件に応じた成長の休止です。本当の休眠との違いを知ると、冬越しで減らすべきことと、続けるべきことが見えてきます。
「休眠」と「環境による休止」の違い
本当の休眠は、植物の内部で制御される休止です。チューリップの球根やリンゴの木は、日が短くなり、気温が下がると準備を始めます。一度休眠に入ると、一定期間の低温など、必要な条件が満たされるまで成長を再開しません。暖かい部屋へ移しただけではリンゴの木は目覚めないのです。植物自身が成長にブレーキをかけています。
一方、クワイエッセンス(quiescence)は、必要なものが足りないために成長が止まっている状態です。観葉植物では、主に光が不足します。制限がなくなれば、内部の待機期間を経ずに成長を再開できます。エンジンを切った駐車中の車ではなく、赤信号で停車している車を思い浮かべてください。植物は活動を続け、蓄えを使いながら条件の改善を待っています。バーモント大学の園芸普及部門も、冬の日照時間と光の強さが減ると観葉植物の成長が大きく鈍る、この休止状態を説明しています。
葉から見た冬の光
鍵になるのは光の収支です。日本では6月から12月にかけて日が短くなり、太陽の位置も低くなります。日光は大気をより長く通り、窓へ入る角度も変わります。7月には明るかった窓辺でも、1月には光の量が大きく減ることがあります。光合成の収入が減る一方、暖房で暖かい室内では代謝の支出が続きます。そのため、植物は新しい葉を作る費用を抑え、蓄えを使って今ある組織を維持します。寒冷地と暖地、窓の向きでも変化の程度は異なります。
部屋をさらに暖めても成長が戻らず、植物育成ライトで光を補うと戻ることがあるのは、このためです。十分明るい南向きの窓でも、成長を続ける株があります。その場合は「冬だから一律に休ませる」のではなく、実際の成長に合わせて水と肥料を与えます。温度だけでなく、使える光が足りているかを見ます。
種類によって休み方は違います
植物のグループ別に見る冬の変化
| 植物のグループ | 冬の状態 | 見られる変化 |
|---|---|---|
| モンステラ、ポトス、フィロデンドロン、フィカスなどの熱帯性観葉植物 | 主に環境による休止 | 新しい葉が少ない、または出ない。今ある葉は保つ |
| アロカシア、カラジウム | 深く休み、地上部がなくなることもある | 葉が黄変して倒れる。地下の貯蔵器官や塊茎は生きている場合がある |
| 砂漠性サボテンと多くの多肉植物 | はっきりした冬の休止 | 成長が止まり、ややしぼむ株もある。涼しい休止が開花に必要な種類も多い |
| シャコバサボテン、シクラメン、花茎を伸ばすコチョウランなど | 開花に向けて活動中 | つぼみや花がある。休んでいる株とは分けて管理する |
最後の行は大切です。12月でも、つぼみや花がある株は活動しています。暦だけを理由に水や養分を極端に減らすと、ランのつぼみが落ちるなど、開花が続かない原因になり得ます。「冬の植物」ではなく、目の前の株の状態で判断します。
成長が止まった株の冬越し
成長が少ない株は、水と養分の消費も減ります。用土が実際に乾いたか、水やり前に確認してください。割り箸や指を数cm差し込み、湿った土が付いてくるなら待ちます。涼しく暗い場所では、夏の3分の1ほどの頻度で足りる場合もあります。ただし、これは固定の目安ではありません。夏と同じ水やり間隔を続けると、乾かない土の中で根が傷みやすくなります。必要な乾き具合は種類によって違い、シダまでサボテンのように乾かすという意味ではありません。
- 目に見える成長がない株には肥料を与えません。ネブラスカ大学の園芸普及部門は、休眠中や休止中の植物への施肥を勧めていません。使われない肥料の塩類が用土にたまり、根を傷めます。土の表面の白い固まりとして現れるのも同じ塩類です。
- 植え替えは春まで待ちます。光が不足する時期は、傷んだ根を作り直す成長も遅くなります。
- 葉のほこりを拭き、明るい窓へ近づけて、今ある光を生かします。ただし冷たいガラスに触れさせず、暖房器具やすきま風から離します。
- 暖房による乾燥に注意します。乾いた空気ではハダニが発生しやすくなります。植物をまとめて置くことや、加湿器の使用が助けになります。
アロカシアがすべての葉を落としても、すぐに鉢を処分しないでください。用土をごくわずかに湿った状態に保ち、明るい場所で待ちます。地下の貯蔵器官が生きていれば、春に芽を出すことがあります。冬越しの基本は、光を確保し、水の消費を確かめ、心配だからと世話を増やしすぎないことです。
春の再始動は新芽で確かめます
環境による休止は、環境が変わると終わります。2月下旬から春にかけて、日が長くなり、光の量が維持に必要な分を超えると、新しい葉が動き始めます。時期は地域や窓辺の条件によって変わります。モンステラの新葉やポトスの明るい芽先が、水やりと施肥を成長期の管理へ戻す合図です。それまでは待つことにも意味があります。成長の鈍化は、必ずしも直すべき異常ではなく、植物が光の収支を合わせている姿です。
参考文献・出典
よくある質問
冬は水やりを完全に止めてもよいですか。
いいえ。環境によって成長を休止している株も、葉から水を失い、生きている根へ水を供給する必要があります。水を断つのではなく、用土の乾きを確認して間隔を延ばします。葉のない深い休止状態のアロカシアや、休止中のサボテンなどは、種類に合わせてごく少量の水で管理します。
アロカシアの葉が全部落ちました。枯れたのでしょうか。
必ずしも枯れたとは限りません。地下の貯蔵器官は、冬の休止で葉がすべてなくなっても生き残ることがあります。明るい場所で用土をごくわずかに湿らせ、春に光が増えるのを待つと、新しい葉が出る場合があります。
ほかの株が止まっているのに、シャコバサボテンはなぜ活動するのですか。
ブラジルの山地の森林に由来する短日植物で、日が短くなると花を形成します。つぼみや花がある間は活動中です。水やりを適切に続け、肥料も控えめに与えます。休止は開花後に訪れます。
執筆者について

植物の科学と不思議
レナさんは植物学者で、植物の一番不思議な点は「なぜそうするのか」をほとんど問われないことだと考えています。光合成、植物どうしのコミュニケーション、病気の生物学など、ジャーナルの科学的な側面を担当し、研究の成果を鉢植えの前ですぐ役立つ形に翻訳しています。
