ジャーナル/Troubleshooting · 6分で読めます
鉢植えにアリが発生!原因と駆除・予防のやり方
鉢植えにアリが発生する理由と、水没法・ベイト剤・バリアによる駆除方法、再発を防ぐコツを解説します。ベランダ・室内の鉢どちらにも対応。
かんたんに言うと
鉢植えにアリが住み着く理由はふたつあります。ひとつは、乾いて手つかずの土が巣づくりに最適なこと。もうひとつは、アブラムシなどの害虫が出す甘露をエサにしていることです。駆除するには、鉢ごと水に20〜30分沈める「水没法」を行い、水やりの習慣を見直し、アブラムシやカイガラムシ、コナカイガラムシがいれば駆除します。それでも戻ってくる場合は、ホウ酸と砂糖を混ぜたベイト剤(毒餌)を使いましょう。
水やりのためにジョウロを傾けたら、鉢の表面がアリだらけで動き出した――そんな経験はありませんか。鉢植えにアリが発生するとぎょっとしますが、安心してほしい点がひとつあります。アリはほとんどの場合、植物そのものを食べたり直接傷つけたりはしません。彼らの目的は「住みか」か「糖分」のどちらかで、どちらが理由かさえわかれば、対処はそれほど難しくありません。
なぜアリは鉢植えに住み着くのか
- 乾いて落ち着ける土。乾燥しきった培養土――とくにピートモス主体で撥水性が出てしまった土――は暖かくふかふかで、トンネルを掘りやすく、巣づくりに理想的な環境です。何週間も動かされていない鉢はとくに狙われやすいです。
- 甘露(かんろ)。アブラムシやカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミは、樹液を吸う際に糖分を含んだ液体を排出します。多くのアリはこれらの害虫を天敵から守る代わりに甘露をもらう、いわば「アリマキ牧場」のような関係を築いています。
- そのほかの居心地のよさ。暖かいベランダに置かれた屋外の鉢や、食べ物の近くにある室内の鉢は、天候や外敵から身を守れる場所としてアリに好まれます。
アリは植物に本当に害があるのか
直接的な害はほとんどありません。健康な植物組織を食べることはないからです。ただし間接的な被害はあります。広範囲にトンネルを掘られると根鉢が乾燥・崩壊し、水をあげているのに植物がしおれてしまうことがあります。また、アリがアブラムシを守っている場合、吸汁性害虫の被害が一気に悪化することもあります。そして単純に、アリだらけの鉢を室内に持ち込みたくはないものです。
ワンポイント:アリを駆除する前に、まずその「牧場」となっている害虫がいないか植物をチェックしましょう。葉の裏や茎にアブラムシ、白い綿状のコナカイガラムシ、茶色い突起状のカイガラムシがいないか、またテカテカした甘露の膜が付いていないか確認します。見つかった場合はまずそちらを駆除するのが先決です。糖分の供給源がなくなれば、アリは自然といなくなることがほとんどです。
水没法:巣ごと一気に立ち退かせる
鉢に住み着いたアリの巣には、水がいちばんの武器になります。鉢よりひと回り大きいバケツやタライを用意し、土の表面を含めて鉢全体を水に沈め、20〜30分ほどそのままにします。水だけでも構いませんが、中性洗剤を少量加えるとより効果的です。アリは巣が水浸しになるとすぐに見切りをつけて逃げ出すので、この作業は家から離れた屋外で行い、巣がどこか無害な場所に移動できるようにしましょう。作業後は鉢をしっかり水切りし、以降は通常の水やりリズムに戻して、そもそもアリが選んだ「からからに乾いた巣の条件」を土が二度と満たさないようにします。洗剤に弱い植物には洗剤なしの水だけで、数日後にもう一度水没させる方法でも十分効果があります。
ベイト剤:何度も戻ってくる場合は
水没法はその場の巣を立ち退かせる方法ですが、別の場所にある巣からアリの行列が繰り返しやって来る場合は、ベイト剤(毒餌)を使います。ホウ酸やホウ砂と砂糖を混ぜたもの、または市販のアリ用ベイト剤を、鉢の中ではなくアリの通り道に置いてください。働きアリが巣に持ち帰ってエサとして仲間に分け与えることで、1〜2週間ほどで巣ごと根本的に解決できます。
注意:ホウ酸・ホウ砂を使ったベイト剤は、必ず子どもやペットの手が届かない場所に置いてください。また、鉢の土の中に直接まくことは絶対にしないでください。ペットがいる環境では、密閉タイプのベイト剤(毒餌ステーション)を使うと安心です。
バリア(物理的な対策)と忌避方法
- 珪藻土(けいそうど):食品グレードの珪藻土を鉢の周りに薄く輪状にまくと、アリの体を傷つけて侵入を防げます。雨や水やりのあとは撒き直してください。
- 物理的なバリア:鉢を足つきの台に乗せ、水を張った受け皿の上に置く「水堀り」方式にすれば、アリが渡れなくなります。植え替え時には排水穴に目の細かいネットをかぶせておくのも有効です。
- 鉢の縁や茎の周りに粘着テープを巻くと、屋外の鉢での行列を止められます。
- シナモンやコーヒーかす、ミントなどの強い香りは、アリの通り道をそらす効果がありますが、あくまで補助的な手段です。すでにできあがった巣そのものをなくすことはできません。
最終手段:完全に植え替える
巣が根鉢の中まで入り込んでしまった場合や、何度対策しても再発する場合は、思い切って植え替えましょう。屋外で作業するのがおすすめです。株を鉢から抜き、古い土をできるだけ振り落として洗い流し(丈夫な植物ならホースで軽く洗い流しても大丈夫です)、鉢はお湯と食器用洗剤でよく洗ってから、新しい用土に植え直します。排水穴にネットをかぶせ、受け皿に水を張っておけば、新しい鉢をアリから守れます。
予防のポイント
- 水やりを一定のリズムで続けましょう。土が完全に乾ききらない状態は、アリにとって魅力のない巣づくり環境になります。
- 定期的にアブラムシやカイガラムシ、コナカイガラムシがいないか植物をチェックし、見つけたら早めに駆除しましょう。
- 土の表面に落ち葉や食べこぼし、糖分を含んだゴミを放置しないようにしましょう。
- 屋外の鉢は足つきの台に乗せ、数年に一度は古くなった培養土を新しいものに入れ替えましょう。
アリを見つけたものの、何がアリを引き寄せているのかわからないときは、PlantMeで葉を撮影してみてください。アブラムシやカイガラムシ、コナカイガラムシなど甘露を出す害虫を見分け、アリの「牧場」が広がる前に対処法を教えてくれます。
よくある質問
アリは植物の根を食べますか。
いいえ、健康な根を食べることはありません。アリが発生した鉢で植物がしおれるのは、根が食べられているからではなく、トンネルによって根鉢が乾燥し崩れてしまうためです。
シナモンをまけば鉢のアリはいなくなりますか。
シナモンはアリの通り道を乱し、行列を遠ざける効果がありますが、すでにできた巣そのものを立ち退かせることはできません。水没法やベイト剤と組み合わせる補助的な対策として使いましょう。
鉢にアリが出るのは水のやりすぎのサインですか。
むしろ逆であることが多いです。アリは乾いて手つかずの土を好むため、鉢にアリの巣ができている場合、土が乾きすぎている、あるいは甘露を出す害虫が植物についているサインであることが多いです。
アリが守っている小さな白い虫の正体は何ですか。
ほぼ間違いなくコナカイガラムシかアブラムシの集団です。アリは甘露をもらう代わりにこれらを天敵から守ります。まずはこの吸汁性害虫を駆除しましょう。いなくなれば、アリも通常はいなくなります。