ジャーナル/Care Basics · 読了7分
胡蝶蘭の植え替え方法|時期・バークと水苔・手順を解説
文: Dr. Lena Okafor · 植物の科学と不思議
胡蝶蘭の植え替えを手順で解説。植え替えの時期の見極め、バークと水苔の使い分け、傷んだ根の切り方、気根の扱い、植え替え後の管理まで。
かんたんに言うと
胡蝶蘭の植え替えは1〜2年に1回、花が終わった直後が適期です。用土が崩れていたり根が鉢の中で回って溢れていたら植え替えましょう。新しい蘭用のバーク(または水苔)を使い、傷んだ茶色い根は消毒したはさみで切り、気根は表面より上に出したまま、鉢はきつめ(大きくしても1サイズ)に植えます。
植え替えは、胡蝶蘭の作業の中でもっとも後回しにされ、しかも株がもっとも必要としている作業です。店で買った胡蝶蘭は、たいてい水苔を詰めたプラスチックの鉢に入っており、2年もすると用土が崩れて水を含んだスポンジのようになり、根を窒息させます。「突然枯れた」という話の多くは、実はこのゆっくりした窒息が原因です。作業自体は15分ほどで終わり、繊細というイメージに反して胡蝶蘭は植え替えによく耐えます。ここでは胡蝶蘭(コチョウラン)を中心に、バーク植えの蘭全般に通じる時期と手順を解説します。
植え替えの時期
- 1〜2年に1回:バークが分解する周期です。崩れたバークはスポンジのように水を抱え、根腐れを招きます。
- 花が終わった直後の春(4〜6月)が最適期です。新しい緑の根の先が見え始める頃で、根を出しながら早く落ち着きます。梅雨入り前に済ませておくと、その後の蒸れによる失敗を減らせます。根腐れがある場合を除き、開花中の植え替えは避けましょう。ふつう花を落とします。
- 時期を問わずすぐ植え替える場合:用土が1週間以上湿ったまま、酸っぱい匂いがする、崩れて土のようになっている、鉢の中の根が茶色くぶよぶよ、株が用土の中でぐらつく——このいずれかに当てはまるときです。
鉢の外へ勝手に伸びていく根は、植え替えの理由にはなりません。気根は胡蝶蘭にとってごく自然な性質です。
用意するもの
- 新しい蘭用の植え込み材。日本ではバーク(樹皮)+プラ鉢と、水苔+素焼き鉢の両方が一般的です。バークは過湿になりにくく初心者向き、水苔は保水力が高いため乾きやすい環境に向きます。ふつうの培養土は根を窒息させるので使いません。
- 排水穴のある鉢。同じサイズか1サイズ上(直径で2〜3cm大きい程度)まで。胡蝶蘭は少し窮屈なほうがよく咲き、大きすぎる鉢は湿ったままになり根腐れします。
- 火や消毒用アルコールで消毒したはさみ。汚れた刃はウイルスや細菌性の腐敗を株から株へ運びます。
作業の前に、新しいバークは1時間(できれば一晩)ぬるま湯に浸けておきます。あらかじめ湿らせておくと鉢の中でよく落ち着き、その後の水の回り方も均一になります。
植え替えの手順
- 前日に水を与えておきます。水を含んだ根はしなやかで折れにくくなります。
- 鉢を軽く押して株を引き抜きます。古い植え込み材は、根の中心に詰まった水苔まで含めてすべて取り除きます。この古い芯こそが根腐れの主因です。
- 根を洗って観察します。健全な根は硬く銀緑色(濡れると鮮やかな緑)。傷んだ根は茶色く中空か、ぶよぶよで、外皮がずるりと剥けて芯だけが残ります。
- 消毒したはさみで、傷んだ根を硬い組織のところまで切り戻します。根の半分を落とすことになっても、これはごく普通のことです。咲き終わった花茎も株元で切ります。
- いちばん下の葉の付け根が鉢の縁のすぐ下にくる高さに株を据えます。根のまわりにバークを流し込み、鉢を軽くたたきながら揺すって隙間を埋め、株がぐらつかない程度に締めます。気根は表面より上に出したままにします。無理に埋めると腐ることが多いためです。
- 株元(葉と根の境目)は埋めないこと。必ず表面と同じ高さに保ちます。
ポイント:ぐらつく株は根を張れません。植えたあとも揺れるようなら、最初の2か月ほど支柱に固定してください。安定してはじめて新しい根が張りつきます。
植え替え後の管理
植え替え後に一度たっぷり水を与えたら、切った根が乾いて塞がるまで1週間ほど水を控えます。直射日光を避け、明るく湿度のある場所に置いてください。2〜3週間後から通常の水やり(根が銀色になったら与える、おおむね週1回)と、規定の半分に薄めた肥料を再開します。数週間は下葉が少し垂れたり花茎が止まったりしますが、これは正常です。新しい根の先が伸びてくれば、植え替えは成功しています。
その根が枯れているのか、単に乾いているだけなのか迷ったときは、PlantMeアプリの植物ドクターが写真から判断します。500種類以上の症状の中から根腐れ・水切れ・葉焼けを見分け、対処の手順を案内します。
よくある質問
胡蝶蘭の植え替えに適した時期はいつですか?
花が終わった直後、新しい緑の根の先が見え始める春(4〜6月)が最適です。梅雨前に済ませると安心ですが、用土が崩れていたり根が腐っている場合は時期を問わずすぐ植え替えます。
普通の培養土を使ってもいいですか?
いけません。胡蝶蘭の根は空気を必要とし、培養土は根のまわりで固まって窒息させます。バーク用土か、水の管理に慣れているなら良質な長繊維の水苔を使いましょう。
植え替えのとき気根は切るべきですか?
切りません。健全な気根は鉢の外に出したままにします。明らかに枯れているもの(茶色く紙のよう、またはぶよぶよ)だけを取り除きます。健全な根を切ると株の体力を奪い、感染の入り口にもなります。
根が鉢いっぱいです。大きな鉢に替えるべきですか?
少しだけです。胡蝶蘭は窮屈な鉢を好み、根鉢よりずっと大きい鉢は古い水分を抱え込みます。大きくしても直径で2〜3cmまで、あるいは同じ鉢で植え込み材だけ新しくします。
植え替えた直後に水をやってもいいですか?
バークを落ち着かせるために一度与え、その後は1週間ほど待ってから通常の水やりに戻します。切った根が乾いて塞がる時間が必要です。