Oak branch laden with ripe brown acorns in their cupules, more fallen acorns on mossy ground below

ジャーナル/Plant Science & Curiosities · 5分で読めます

どんぐりが多い年はなぜ?「なり年」とマスティングのしくみ

文: Dr. Lena Okafor公開日

秋の地面がどんぐりで埋まる年と、ほとんど実らない年。その豊凶の波は、種子を食べる動物から次世代を守る戦略と考えられています。

かんたんに言うと

豊作年、いわゆる「なり年」は、地域の多くの木が同じ年に大量の種子をつける年です。こうしたマスティング(結実豊凶)の豊作は、オーク類ではおよそ2〜5年ごとに起こりますが、周期は一定ではありません。収穫量は天候と木の内部の結実周期によって数か月前から決まります。最もよく支持されている説明は、種子を食べる動物が食べきれない量を一度に生産し、一部を発芽につなげるというものです。

最初に気づくのは、音かもしれません。物置の屋根を不規則にたたく音、小さく硬い実が枝の間を落ちてくる音です。足元を見ると、芝生がどんぐりで埋まっています。去年よりずっと多く、リスも運びきれないほどです。庭の木が大量のどんぐりを落とすのは、偶然でも何かの前兆でもありません。植物学では、この結実のしかたを「マスティング」と呼びます。

豊作年、「なり年」とは何ですか?

英語の「mast」は、どんぐり、ブナの実、ヒッコリーの実など、森林の木がつくる果実をまとめた古い言葉です。植物学では、どんぐりやナッツのような硬い実と、ベリーなどの柔らかく肉質の実を区別します。豊作年には、ある地域の木々がそろって大量の種子をつけ、その後は実の少ない年がいくつか続くのが一般的です。オーク類では大きな収穫がおよそ2〜5年ごとに戻りますが、間隔は不規則で、地域によっても違います。成木が一度の秋に何千個ものどんぐりを落とし、翌年はほとんど実らないこともあります。日本でよく話題になるブナの豊凶も、この現象を考える身近な入口です。

有力な説明は「食べきれない量をつくる」こと

なぜ木は毎年同じ量をつくらず、ある年に大きなエネルギーを使うのでしょうか。有力なのは「捕食者飽和」という仮説です。ここでいう捕食者は、種子を食べる動物を指します。温帯林では、どんぐりはリス、ネズミ、カケス、シカ、イノシシなどにとって貴重な食べ物です。北米の森林では、シチメンチョウ、アライグマ、キツネも利用します。毎年同じ量の実が安定して供給されれば、動物の数もその量に見合うように増え、発芽する分がほとんど残らなくなるかもしれません。

マスティングは、その均衡を崩します。不作が続く間は種子を食べる動物の数が低く抑えられます。そこへ豊作が訪れると、動物たちはすべてを食べきれません。3年間ほとんど商品がなかったパン屋が、ある朝突然1万個のパンを無料で配るところを想像してください。町中がおなかをすかせていても、たくさん残るでしょう。この余りこそが大切です。埋められたまま忘れられたどんぐりが、次の木になります。

何千本もの木が、どうやって同じ年に実るのでしょうか?

食べきれない量をつくるには、木々が一緒に実る必要があります。1本だけが豊作になっても、近くのリスをよく養うだけです。実際には、何キロも離れた森の木々が同じ年に豊作になります。その同期のしくみはまだ完全にはわかっていませんが、共通の天候が合図になるという点では、研究者の見解はおおむね一致しています。オーク類は風で花粉を運び、同じ地域の木は同じ春を経験します。暖かく湿った生育期と大量の結実との関連も報告されています。天候が指揮者となり、植物は共通の合図に、私たちが思う以上に巧みに反応するのです。

大量の実をつくること自体も、大きな投資です。そのため豊作は毎年連続するのではなく、周期の中の山として現れます。大きな宴を開いた木は、翌年には実をあまりつけないのが一般的です。

食物網に広がる、時間差の影響

最後のどんぐりが落ちても、豊作年の影響は終わりません。2〜3年にわたって続きます。オーク類の結実を調べる生態学者は、どんぐりからネズミやシマリスへ、さらにその捕食者へとつながる連鎖や、地上に巣をつくる鳥、マダニへの影響を追ってきました。変化は時間差で現れます。

どんぐりの豊作が引き起こすこと

時期一般的に起こる変化
豊作年の秋シカ、リス、カケスが豊富な実を食べます。北米の森林ではシチメンチョウやクマも利用します。カケスやリスは、回収しきれないほど多くのどんぐりを隠します。
翌年冬を迎える前に十分食べた動物が生き残り、繁殖しやすくなります。ネズミ類やシカの数が増えます。
1〜2年後フクロウ、タカ、キツネがネズミ類の増加に反応します。宿主となるネズミ類やシカが増えると、マダニも増えることがあります。
その間、土の中では隠されたまま忘れられたどんぐりが発芽し、次世代の木になります。

最後の行が、静かな成果です。どんぐりを埋めたまま取りに戻らないカケスは、結果として森を育てています。

どんぐりが多いと、冬は寒くなるのでしょうか?

木が何かを知っているのでは、と思いたくなる話です。しかし足元の実の量は、落ちる数か月から数年前に、花が受粉した春の天候や、それぞれの木の結実周期によって決まりました。どんぐりの豊作は過ぎた季節の記録であって、これから来る季節の予報ではありません。木にはさまざまな能力がありますが、気象予報士ではないのです。

庭では、どう付き合えばよいですか?

庭で豊作の秋に必要なのは、まず熊手です。芝生に落ちたどんぐり自体は害になりません。ただし翌春には、多くの実生が出てくることがあります。不要な芽は小さいうちに抜くか、削り取ってください。指ほどの高さでも、すでに下へ伸びる直根をつくり始めています。

自分で木を育てたいなら、ふっくらした茶色のどんぐりを早めに集め、秋に屋外へまきます。温帯の木の種子の多くと同じように、多くのどんぐりは寒い期間を経てから芽を出します。この時間のしくみは、種子の低温処理・層積処理で解説しています。豊作年には、リスもあちこちに自分の貯蔵場所をつくります。こうした豊凶はオーク類だけの特徴ではありません。ヒッコリー、ブナ、サトウカエデ、多くの針葉樹も、それぞれの周期で豊作と不作を繰り返します。10月の庭は、決して休んでいるわけではありません。木々は数十年先につながる営みを進めています。頭上で起きる秋の葉の色の変化も、その一部です。

参考文献・出典

  1. The Secret Life of Acorns: Oaks, Wildlife, and the Science of Mast Years — N.C. Cooperative Extension, Beaufort County
  2. Weekly "What is it?": Mast Year — UF/IFAS Extension, Escambia County
  3. The Mysteries of Masting in Trees — Brooklyn Botanic Garden

よくある質問

オーク類の豊作年は、何年に一度ですか?

およそ2〜5年に一度ですが、周期は不規則で、種類や地域によって異なります。地域の天候で間隔が変わることもあり、1本だけ周囲と少しずれて実る場合もあります。

どんぐりが多いと、翌年はリスも増えますか?

一般的には増えやすくなります。冬前に十分食べた動物は生き残り、繁殖しやすくなるため、豊作の翌年にはネズミ類やシカの数が増える傾向があります。それらを食べる動物は、さらに1年ほど遅れて増えることがよくあります。

すべての木に豊作年がありますか?

すべてではありませんが、多くの木にあります。ヒッコリー、ブナ、サトウカエデ、多くの針葉樹は、それぞれの周期で豊作と不作を繰り返します。一部のイネ科植物でもマスティングが確認されています。

執筆者について

Dr. Lena Okafor
Dr. Lena Okafor

植物の科学と不思議

レナさんは植物学者で、植物の一番不思議な点は「なぜそうするのか」をほとんど問われないことだと考えています。光合成、植物どうしのコミュニケーション、病気の生物学など、ジャーナルの科学的な側面を担当し、研究の成果を鉢植えの前ですぐ役立つ形に翻訳しています。

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