ジャーナル/Troubleshooting · 6分
バラの黒星病(黒点病):見分け方・対処法・再発を断つコツ
黒星病(黒点病)はバラでもっとも深刻な病気です。縁がぼやけた黒い斑点、黄変、9月には葉が落ちて枝だけに。診断の確かめ方、本当に効く対策、そしてこの秋の数週間が再発を断つ最大のチャンスである理由を解説します。
かんたんに言うと
バラの葉に縁がぼやけた黒い斑点が出て、黄変し早く落葉するなら、カビ(糸状菌)による黒星病です。ひどい葉は取り除いて処分し、水やりでは葉をぬらさないようにし、そして今いちばん大切なのは、この秋に落ちたバラの葉を一枚残らず拾うことです。菌は落ち葉や枝で冬を越すため、これからの数週間の衛生管理が来春の被害の大きさをほぼ決めます。
9月下旬、黒星病にかかったバラはすぐにわかります。斑点だらけの葉、黄ばんだ葉、ひどい場合は株元に落ち葉の輪ができ、半分裸になった株。もしお庭のバラがそんな状態でも、まずは落ち着いてください。黒星病はバラでもっともよく見られる病気ですが、しっかり根づいた株を枯らすことはめったにありません。そしてタイミングは味方です。秋は、地味な作業をいくつかするだけで翌シーズンが本当に変わる、一年で唯一の時期なのです。
まずは本当に黒星病か確かめる
- 葉の表側に、直径1cmほどまでの丸い紫黒色の斑点。輪郭はくっきりした円ではなく、ぼやけて放射状にギザギザしています。
- 斑点のまわりから黄色くなり、葉全体に広がっていきます。
- 葉が早く落ち、たいてい株の下のほうから上へと進みます。
- 感染が重いと、若い枝に小さな黒いかさぶた状の病斑が出ます。
決め手はこのぼやけた縁です。黒い斑点ではなく白い粉をまぶしたようならうどんこ病で、対処法が異なります。葉が白っぽくかすれ、細い糸が張っているならカビではなくハダニです。迷ったときは植物の病気の見分け方ガイドで似た症状を確認できますし、PlantMeアプリなら葉の写真を撮るだけで、500種類以上の植物の病気と数秒で照合できます。
葉の上で何が起きているのか
原因はDiplocarpon rosaeというカビの一種です。胞子は水に乗って移動します。雨の跳ね返りや、葉の上からの水やりです。そして発芽には意外なほど厳しい条件があり、少なくとも7時間続けて葉がぬれている必要があります。感染がもっとも速いのは18〜24℃ほどの穏やかな気温のときで、29℃を超えるような暑く乾いた時期には勢いが止まります。日本で梅雨と秋雨の時期に黒星病が一気に広がり、真夏にはひと休みしがちなのはこのためです。感染した葉の斑点からは約2週間で新しい胞子がつくられ、雨が降るたびにまき散らされます。断ち切りたいのは、このサイクルです。
効果の大きい順に、対処法
- ひどい葉を取り除く。斑点の多い葉を摘み取り、すでに落ちた葉も集めます。可燃ごみに出すか土に埋め、堆肥や落ち葉の山には入れません。
- 葉をぬらさない。水やりは朝に株元へ。葉の上からかけないでください。胞子から「7時間のぬれ」を奪うことになります。
- 風通しをよくする。株間をあけ、株の中心を混ませないようにすると、雨のあと葉がすぐ乾きます。梅雨や秋雨の長雨どきは特に効いてきます。風の通らない茂った株は、まさに培養器です。
- 薬剤散布の前にひと呼吸。殺菌剤はありますが、英国王立園芸協会(RHS)は現在、生物多様性や土の生き物への害を理由に、家庭園芸での定期的な殺菌剤使用を控えるよう勧めています。すでに斑点の出た葉を治す薬もありません。衛生管理と風通しのほうが、長く効きます。
この2週間が、どんな薬剤よりも大切な理由
見落とされがちなのがここです。黒星病は冬に死ぬのではなく、冬眠します。菌は地面の落ち葉や、若い枝や芽に潜んだ休眠中の感染部で冬を越し、春に新芽へ胞子を飛ばします。今拾う一枚一枚が、春の感染源を減らすことになります。秋のあいだ、落ちるバラの葉はこまめに集めてください。ごみに出すか、新しいマルチの下に埋めます。ただし腐葉土づくりには入れないでください。温度が十分に上がらず、菌が死なないからです。冬のあいだは株に残った葉も摘み取ります。そして春、バラを剪定するときに、黒いかさぶた状の病斑がある枝を新葉が出る前に切り取りましょう。
落ち葉を集めながら安心していただきたいのは、菌が生き残るのは感染した葉や枝の中であって、土の中に自由にいるわけではないということです。胞子だけでは1か月ほどしかもたず、土壌には残りません。土を入れ替えたり消毒したりする必要はありません。落ち葉を片づければ、それで十分です。
毎年くり返す場合
もともと黒星病にかかりやすいバラもあります。黒星病に耐病性のある品種も売られていて、手間をかけたくない庭には探す価値があります。ただし正直にお伝えすると、新しい系統の菌が現れるにつれ、耐病性は年月とともに弱まる傾向があります。「耐病性」とは確かなアドバンテージであって、免疫ではありません。全体としては、古い原種系のバラのほうが、多くの現代のハイブリッドティーやフロリバンダ、つるバラよりも黒星病に強い傾向があります。衛生管理をしても毎夏みじめに葉を落とす株なら、丈夫な品種に植え替えるのは敗北ではなく、優先順位の判断です。
肩の力を抜いて
9月に斑点の出たバラは緊急事態ではありません。その葉を落として出直すことを、株はもう決めています。診断を確かめ、葉をぬらさない習慣に変え、これから1か月、ときどき20分ほど熊手を持って庭に出てください。黒星病の悩みの多くは、夏に噴霧器で解決するものではなく、秋にバケツひとつで解決するものです。
参考文献・出典
よくある質問
黒星病の葉は堆肥にしてもいいですか?
一般的な家庭の堆肥ではおすすめしません。菌を確実に死滅させるほど温度が上がることはまれで、できた堆肥はそのまま花壇に戻るからです。感染した葉はごみに出すか、マルチの下に埋めてください。
病気のバラの下の土を入れ替える必要はありますか?
いいえ。菌は落ち葉や枝で冬を越し、土の中に自由にいるわけではありません。胞子だけでは土の中で1か月ほどしか生き残れません。大切なのは落ち葉を片づけることです。
黒星病でバラは枯れてしまいますか?
その可能性はとても低いです。毎年のように葉を落とすと株は弱り、花も減りますが、根づいたバラなら、適切な衛生管理と春の剪定でほぼ確実に回復します。
執筆者について

植物のレスキューとトラブル解決
カミーユさんは長年、植物店のカウンターに立ち、どのお客さまからも同じ質問を受けてきました。「これ、どうしちゃったの?」。ジャーナルのレスキュー記事を担当し、落ち着いて、まず診断から、そして責めないという姿勢で書いています。枯れかけに見える株の多くは、正しい判断ひとつで元気を取り戻せるからです。
